『どのように子どもをモチベートするか(=動機づけるか)』、『どのようにしてその子の中に眠るタラント(才能・能力)を引き出すか』というテーマについて、5/29のブログでふれました。
クォリティスクール(Quality School) のベースとなっているリアリティセラピー(Reality Therapy)の提唱者であるユダヤ人精神科医のウィリアムグラッサー博士は『誰も外的コントロール(命令・脅迫・強制etc.)によって他人を変えることはできず、ただ内的コントロール(内発的動機)によってのみ、人は‘行為の変容’を起こしうる』と主張します。
*************************************************************************
具体的な例を挙げてみましょう。
ある子がお母さんに言いました。「7時半からのこの
TV番組だけ見せて!それが終わったら必ず勉強するから。」
…7時55分になりました。この子は、コマーシャルの後の予告編をワクワクしながら待っています。それを見終わったら‘約束’どおり2階の自分の部屋に行って‘気分よく’勉強するはずでした。
ところが、そこに(その子の上質世界に)お母さんのいきり立った怒り100%の声が割り込んできました。「見たらサッと勉強するって約束だったじゃないか!このウソつき!」
・・・ウソつき扱いされたこの子の中に、もはや‘気分よく’勉強に打ち込む気持ちがとどまるはずもありません。自己否定されたこの子は、「力の欲求を満たすんだ!」という遺伝子の指示に素直に従い、「予告編まで見たらサッと部屋に入る気だったのに、そんな気なくなった!このバカ!」と反論。しばらくの戦争状態の後、所属の欲求を誰よりも満たしてくれる対象であるべき親から自己否定された傷と、自分の計画に介入され自由の欲求を損ねた悲しみと、予告編を見そこない楽しみの欲求を満たし得なかった残念な気持ちを引きずりながら勉強部屋に入ったこの子が、その夜‘効果的な’家庭学習をできたかどうかは言うに及びません。
このケースで、この子のお母さんは命令・脅迫・強制と言ったたぐいの外的コントロールを使っています。しかも、人を充実行動に至らせる鍵となる4つの心理的欲求(‘所属’,‘力’,‘楽しみ’,‘自由’)の充足を見事なまでに阻害しています。結果として、お母さんが期待していたような効果は得られていません。そればかりか、この子の上質世界からお母さんは外されていったのです。
もしこのお母さんが7:55の段階で『命令』『強制』『否定』の代わりに、「楽しめてよかったね。さ、もういいかい?」と【評価の質問】をしていたら、この子は「あと予告編があるんだ。これが大切なんだよ。見たら勉強に入るから。」と自分の【wants(願望)】を明確な言葉で答えることができ、予告編を見終わった後に、より適切な行動を自ら【判断】し【選択】したことでしょう。
一方、『内的コントロール・内発的動機づけ』は『命令・脅迫・強制・否定』とは相いれず、本人自らが自分の目標などの【wants】を満たすために、現在の行為【doing】が適切であるかかどうかを自己評価【evaluation】し、その【wants】を満たすためにより効果的な行為【doing】を【選択】するところから始まります。
*************************************************************************
暁星国際学園のときも、朝日塾中学校のときも、指導にあたって、まず、生徒たちの【wants】を明確にした上で、それに基づき目標を設定しました。(現在指導中の共栄学園でも、一部を除き、そうしています。)
個々の生徒は、その目標の達成のために、学校での学習範囲(おきまりのシラバス)の枠組みにとらわれず、アロックやデータベース学習に打ち込み、「先生、この項目全部終わったよ!」と言って、達成感(力の欲求)に満ちてその日の学習を終えます。
このように‘小さな成功体験’が快感行動となっている生徒には、どんなルールも命令・脅迫・強制も必要ないのです。
教育のミッションの1つは、こどもたちの中にこのような成功感覚を養い、本当の意味で‘自立’をさせていくことだと私は考えています。
暁星国際学園の時には、夏休み・冬休みの長期休暇中、宿題を出しませんでしたが、生徒たちは各自、今の自分の段階にあった参考書や問題集を自ら購入し、自分のために必要な課題を自主的に見つけ、学習してきたことを付加します。
『成功とは、探し求めた目標の満足いく達成である』 (ノア・ウェブスター)
【後記1;前回のblogの見方】
このblogの最上部(最初の部分)にあるタイトル ~今回であれば〔 【自己評価の質問】と内的コントロール(暁星国際学園での例) 〕~ のところをクリックしてください。すると同じ記事が新しく表示されますが、最上部の箇所が 〔 池袋でのプレゼンテーション(7月6日)|メイン 〕 となるはずです。その 「池袋でのプレゼンテーション(7月6日)」 の部分をクリックすると、前回のblog をご覧になることができます。
**************************************************************************
【後記2;お願い】
このブログを読み終わるたびに、 か
か
をクリックしてください。 ご協力を感謝します。
**************************************************************************
初めてこのブログをご覧くださっている方は、ぜひ 推奨順にお読みください。
各学校での成果の秘訣を紹介しています。 *********************************************
*推奨順 に進むためには、ここをクリックしてください。⇒はじめに
*************************************************************************
最近のコメント