1.命令・脅迫・強制にかわるもの
今から約20年あまり前は、カウンセリングと言えば ロジャース派 の 来談者中心療法 が主流でした。そろそろ 交流分析 (TA) がメジャーになろうとしつつあった頃のことです。
‘聴く’ ということと自己理解・自己受容の難しさを思い知らされたことを思い出します。
その後、 トータルカウンセリングスクール (Total Counseling School) や リアリティセラピー (Reality Therapy) 等の学びを進めていくうちに、 カウンセリングのゴールをカウンセラーが決めて誘導できる ことを知りました。勿論、このことは〔悪用〕すれば倫理的な問題になります。しかし、教育やビジネスの世界に適応すれば有効に働かせることもできます。
〔命令・脅迫・強制〕 をせずに、クライアント (来談者・患者・教育現場では子ども・会社では部下)を立ち上がらせる ことができる手法は、まさにこれです。
これは、〔ほめる・おだてる・のせる〕の世界とは次元が違います。 「古賀先生は子供をのせるのがうまい」とよく言われたことがありますが、いちいち説明をするのが面倒くさかった私は、そのたびに軽く笑って流していました。…良くも悪くも、私の‘あり方’です
2.カウンセリングのゴールを誘導する例
カウンセリングのゴールを誘導するとは、コンパスを失くし太平洋を漂流しているボート(=何をどうしたらよいかわからないクライアント)に、イルカになってそばを一緒に泳ぎながら、島までの方向性を示すのに似ています。
カウンセリングのゴールを誘導する例を、ロールプレイ形式で説明しましょう。
(教育現場の例) カウンセラー = 教師 クライアント = 生徒
生徒; なぜ勉強なんかしないといけないの?
教師; なぜ勉強しないといけないかを考えてるんだ。(エコー) 勉強の目的を知りたいの?
生徒; いや、勉強の目的を知りたいんじゃなくて、勉強がつまんない。
教師; そーかー、勉強がつまんないって感じてるんだ。 (エコー)
生徒; そう。
教師; どうなりたいの? (wantsの質問)
生徒; もっと遊びたい。
教師; そーかー、もっと遊びたいんだ。 (エコー) じゃあ、たくさん遊べば問題は解決する? (評価の質問)+(C/Gの流れを誘導)
生徒; うん。…うそ、勉強からは逃れられないからね。母ちゃんうるさいし。
教師; そーかー、母ちゃんうるさいんだ。笑 (このエコーは危険)
生徒; うん、超うるさい! (…と、クライアントの悪い感情を引き出すことになるからです)
教師; そーかー、じゃあ、勉強がつまんなくなくなる方法があれば知りたい? (評価の質問)+(C/Gの流れを誘導)
生徒; うん。
教師; 勉強がつまんなく感じだしたのは、いつから?
生徒; 7月くらいかなあ。…それまでは、そんなでもなかった。
教師; じゃあ、その境目には何があったのかな?
生徒; 勉強がわからなくなった。友達に聞いても意味不明だし…
教師; じゃあ、勉強がわかるようになれば、つまんなくなくなる? (wants/評価の質問)+(C/Gの流れを誘導)
生徒; まあ…ね。
教師; 今までに同じような時があった?もしあったなら、その時どうしたかな? (plan)
・・・と続いていきます。 ただのエコー(オーム返し)でなく、カウンセラーがカウンセリングのゴールを誘導しているのがわかりましたでしょうか?
3.『立場に立つ』 ということ
上記の例は、 コーチング ではなく カウンセリング です。しかし、この手法の根本的な考え方は、教育現場などの1対多の場面で、全体をコーチする時に使えます。ただ、十分なトレーニングが必要になります。
現在、簡単な 【教師トレーニング・マニュアル】 を作成中ですが、マニュアルよりも何よりも先に、最も大切なことは『立場に立つ』という姿勢でしょう。
それがなく、『意図』も不明確なまま現場に出たら、何をすべきか、何をしゃべればよいかが、わからなくなります。
R・W・D・E・P の原則に基づいて、まず今日は R(リレーション)を作るからと言って、何でもしゃべればいいというものではありません。
教育現場に限定した例で言うと、勉強意欲を引き上げなければならない子たちに、ゲームやテレビへの誘惑を助長する会話は、仮にRを作るのがその日の『意図』だったとしても、それでは『意図』のはき違いです。
日本の学校改革は、実践的な教授法と指導者の改革から始まります。
指導の任にある皆様、次代を担う子ども達、若い世代のために、お互いに研鑽をつみ頑張っていきましょう。
『成功は成長の果実である』(青木仁志)
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